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第5話

2012年01月31日  / カテゴリー:  ナサザルカ

———————知りたくないことを、知りました。

それからの三日間、オレは自宅のパソコンの前に張り付いて探していた。

眼が痛い。

手が痛い。

心が痛い。

絶対に見つけてやる。

泣き寝入りなんてしない。

血祭りに あげてやる。

のどの乾きに、ミネラルウォーター呷る。水滴の伝う感覚がひどく気色悪かった。

世界は気まぐれ。

ほとんどゲーム。うそっぱち。

でも、こんなにもリアル。

怖いよ。なんでだよ。痛いよ。吐きそうだよ。

例のHPのプロバイダへアクセスして、様子を探って侵入する。

顧客情報のセキュリティが邪魔をする。

頼むから誰も邪魔しないでくれ。

前だったら、こんなこととてもできなかったけれど。

今ならなんでもやってやる。

「これか。」

けたたましい警告の中、オレはパスワードを手に入れた。

利用者とパスワード、アカウントを照らし合わせる。

見つかる。確信した。

とりあえずは復讐だ。何をする?

考えながら検索をかける。

『顧客名簿検索結果  河内静雄 19歳  男性 神奈川県横浜市……』

あれ?

オレ、こいつしってるよ?

こいつ友達だよ?

なんで住所までいっしょなの?

同姓同名のクズ野郎じゃないの?

なんで?

確かめなくちゃ?

確かめなくちゃだよな?

本当に?嘘じゃなくて?

オレは、三日ぶりに外へでた。

夕方の風は冷たかった。

お蔭で思考がはっきりしてきて。

結局出した答えは河内に会うしかない、ということだけだった。

間違いかもしれないし、何か理由があったのかもしれない。

オレはあいつは友達だと思ってる。

あの笑顔は嘘じゃないと、証明したかった。

何度か遊びにきた家が目の前にあった。

夕映えにそびえて化け物ぜんとしたそれの、インターホンを鳴らす。

「よぉ、どうしたんだよ三日も学校休んで。」

のっぺりとした笑顔をたたえ、河内は出てきた。

いつもどおりの口調。友達。

躊躇い。

でも。

「……ちょっとな。調べもの、してたんだ。」

乾く。

「ふーん。なにを?」

「オレのコラージュ写真の載った、おまえ名義のHP……。」

風が走る。

樹のざわめき。

不気味な、

逢魔ヶ時。

「……ばれたんだ?」

引き攣るような笑みが漏れる。

視界が点滅している。

魔と逢う時。

「なん・・・冗談にしちゃ性質が悪いだろ?ふざけんな!」

シュートする思考の中、怒りをぶつけた。

「商売になると思ったから。」

いつも通りの笑顔で、河内は言葉を発している。

「俺の知り合いでそっちの人がいんだけど、偶然見たおまえの写真気に入ってさ。

絶対にそっちの人に好かれる顔だっていうから、試しにコラージュして知り合いのゲイのエロ画像サイトにアップしてみたんだよ。

そしたらえらくヒットしちまってさぁ。で、商売になると思ってアングラで有料サイト立ち上げたわけ。お蔭で俺も内村もかなり潤ったぜ。」

「……内村も?」

「あ、なんだ。そこまではヒットしてなかったのか。あいつにも協力してもらってんだ。あいつのが俺よりコラージュうまいし。」

「…………おまえらは…………」

「あん?」

「…………金になるなら友達も売るのか………?」

ふるえる。

「なんていってほしいわけ?俺ベタベタした友情ごっこきらいなんだけど。そもそも友達だと思ってたんだ?

ああ、でもある意味友達だったよ。おまえのおかげで稼げた。ありがと。」

自分が風で飛ばされた気がした。

すかすかする。

寒い。

逢魔ヶ時

魔に逢う時。

 

【 第5話/終 】

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