翔太くんのユウウツ。
2012年02月2日 / カテゴリー: 短編小説
「僕はね、ドラえもんが欲しいの。」
そう言うと、みほちゃんは怒ってかえっちゃったんだ。
砂場の前で立ち尽くす少年がひとり。
彼の名は三浦翔太。眼鏡っ子な幼稚園年長さん。趣味は砂遊び。
少しおとなしいの翔太少年は、男の子より近所に住んでいる『みほちゃん』と遊ぶことが多いようです。
そんな翔太少年は、いま悩みるつぼの真っ只中におりました。
さかのぼること10分前。
砂場に浮かぶ、ふたつの小さい影。
翔太少年は、今日も前田美保ちゃん(5歳)と大好きな砂遊びをしておりました。
今日は砂の具合も絶好調で、もう少しでお城が完成しそうです。
「ねぇねぇ、翔ちゃん?」
乾いた砂をお城の屋根にかけながら、みほちゃんは笑顔で聞きました。
「んー?」
翔太少年、お城に夢中です。
「翔ちゃんはだれが好き?」
なおもニコニコと笑顔でみほちゃん。
「んとねー、ママと、パパと、おばぁちゃんとおじぃちゃん。」
みほちゃん、ちょっと顔が歪んでいます。
「……あとは……?」
さあ、翔太少年男の見せ所!
「あと~……ドラえもん!」
あああ!
「ド、ドラえもん……?」
「うん♪ノビタ君くんがぴんちになると、いっつも助けてくれるんだもん。
僕も眼鏡かけてるから、もう少ししたら僕のところにもドラえもんが来るんだって!パパがいってた!」
翔太少年、尚もお城に夢中です。
目の前のみほちゃんの表情に気づいていません。
みほちゃん、すっくと立ちあがって一言。
「翔ちゃんなんかキライ!!」
突き飛ばされて翔太少年がしりもちをついた時には、みほちゃんはぱたぱたと音を立てて帰ってしまっていました。
「……なんでぇ?」
砂の城には黒い染みが二つ。
しずく形のそれに、翔太少年ははまだ気づけません。
「あと、みほちゃんも、けんちゃんも好き……。」
なんとはなしに呟いてみても、だれも聞いてはいないけれど。
砂のついた眼鏡だけが、砂場でぽとりと落ちています。
その夜、なんだかとても悲しくて、翔太少年はふとんでこっそり泣きました。
翌日幼稚園の砂場で、ぽってり目蓋を腫らしたまま翔太少年はひとりぼっち。
みほちゃんはどこかいっちゃったし、けんちゃんは風邪でおやすみだし。
なんだかとても悲しくなって、眼鏡に水玉模様が落ちそうになった頃。
「また翔ちゃん泣いてるの?」
かけられた言葉に声に顔をあげると、
「みほちゃん……。」
「しょうがないね。」
みほちゃんは翔太少年の眼鏡を取ると、自分のハンカチで拭いてあげました。
「はい。」
「……ありがと。」
目をこしこし擦りながら眼鏡をかけると、みほちゃんはちょっと怒りながらいいました。
「いいよ。あたしがドラえもんにもなってあげる。のび太くんはしずかちゃんもドラえもんも好きみたいだから。」
「しずかちゃん?」
「しずかちゃんはのび太くんの一番近くにいる女のコでしょ?」
「……うん。」
なんだかよくわかんないけど、みほちゃんがまた一緒に遊んでくれるみたいだから、僕はうれしいです。
結局翔太少年はよくわかっていないけれども、一件落着?
みほちゃんも翔太少年も前途多難でありました。
end
お題は「眼鏡の男の子」でした。どうでしょう……?(ドッドッドッ)
なにやら的外れな方向へ飛んでしまった感が否めません【滝汗】
ご迷惑とは存じますが、このSSを本田準氏に捧げます。返却可です。(==;)











